ContextCaptureユーザーガイド

写真撮影

オーバーラップ

被写体の各パートは、少なくとも3つの撮影視点から撮影されている必要があります。この3つは異なる視点ですが完全にバラバラというものではありません。連続した写真の重なり具合は、通常は3分の2を上回っている必要があります。撮影視点を移動していく際の間隔は15度未満であることが必要です。

単純な被写体の場合、被写体の周囲をおよそ30~50の等間隔の幅を空けて撮影すれば可能です。

航空写真の場合、オーバーラップ80%以上、サイドラップ50%以上を推奨します。最善の結果を得るには、垂直写真と斜め写真を撮影し、建物の外観、狭い通路や中庭を同時にカバーすることです。ContextCaptureは、体系化されていない画像データに対しても高度なロバスト性を有しています。とはいえ、より体系的なデータ収集のためには撮影計画を立てる方がよいでしょう。

カメラモデル

ContextCaptureは幅広いカメラに対応します。たとえば、携帯電話のカメラ、コンパクトデジタルカメラ、DSLR、魚眼、写真測量用カメラ、マルチカメラシステムがあります。ContextCaptureは、スチール写真やデジタルビデオカメラから抽出されたフレームを処理できます。リニアパッシュブルームカメラと、速いモーションでのローリングシャッターカメラには対応していません。

ContextCaptureはカメラ解像度の最低限度を設けていませんが、高解像度の方がより少ない枚数で正確に被写体を捉えることができるため、低解像度よりも処理が迅速です。

ContextCaptureは、ご使用のカメラのセンサーサイズ(長辺の値)を知る必要があります。ご使用のカメラモデルがContextCaptureのカメラデータベースにまだない場合、センサーサイズの入力が必要になります。カメラの詳細がわからなければ、カメラ仕様書か、次のDigital Photography ReviewのWebサイトをご参照ください。http://www.dpreview.com/products

投影ピクセルサイズ

投影ピクセルサイズとは、従来の地上解像度をより一般的に、航空写真を使わなくても得られるように拡張したものです。

生成された3Dモデルの解像度と精度は、ある被写体の投影ピクセルサイズに直接関連しています。理想的な投影ピクセルサイズを得るには、次のように決定されている焦点距離と被写体までの距離の適切な組み合わせを採用する必要があります。

(投影ピクセルサイズ)×(焦点距離)×(写真の長辺の長さ)=(センサー幅)×(被写体までの距離)

[m / ピクセル] [mm] [ピクセル] [mm] [m]

画像全体の統一的な投影ピクセルサイズは必要ありません。ContextCaptureでは投影ピクセルサイズのバリエーションが、生成された3Dモデルの解像度と精度へ自動的に伝達されます。ただし、ContextCaptureは根本的に異なっている投影ピクセルサイズを一緒に扱うことはできません。もしワイドレンジが要求されたら、中間値を持つ写真がスムーズなトランジッションのために使用されます。

焦点距離

撮影プロセス全体を通じて固定化された焦点距離を使用することを推奨します。

非統一的な投影ピクセルサイズを取得するには、被写体との距離を変更してください。被写体との距離が固定されているような状況(被写体に近づいたり離れたりすることが難しい状況)で、焦点距離を変更せざるをえない場合は、撮影をいくつかのまとまりごとに行い、それぞれのまとまりを固定した焦点距離で撮影してください。

ズームレンズを使うときは、一連の写真撮影を通じて位置が固定されているように注意してください。手動のズームレンズを固定するには粘着テープも使用できます。

適切なカメラモデルタイプが指定されている場合は、広角レンズまたは魚眼レンズを使用することができます。ContextCaptureでは極端なレンズディストーションを自動的に推定できます。

デジタルズームは使用しないでください。

露出

モーションブラー、ディフォーカス、ノイズ、露出過多、露出不足は、3Dリコンストラクションに深刻な影響を与えるおそれがあります。適正露出になるように設定してください。

露出を手動で行うと、生成された3Dモデルのテクスチャマップに色ムラが生じるおそれがあります。そのため、手動での露出は、写真スキルがあり、安定的かつ統一的な明るさのある撮影コンディションの場合に推奨します。それ以外の場合は自動での露出がよいでしょう。

オプティカルまたはデジタルのイメージ安定化機能はオフにしておくことを推奨します。

照明

被写体の周囲を安定的に照らす照明の方が、直接的な照明や、時間の経過とともに変化する照明よりも、望ましいです。後者は明るすぎ(露出過多)または暗すぎ(露出不足)になるリスクが増加するからです。屋内での撮影は、フラッシュよりも固定的な照明が好ましく、屋外での撮影は晴天よりも曇り(高高度の巻雲で雨天ではない)の方が好ましいです。もし明るく晴れた日に撮影しなければならない場合は、影となる部分を最小限に抑えるため、昼頃に撮影してください。

影は、適切な照明の場合にはContextCaptureのパフォーマンスに影響しませんが、生成された3Dモデルのテクスチャマップには現れる可能性があります。

写真の修整

写真をContextCaptureに入力する前に、リサイズ、切り取り、回転、ノイズ減少、鮮明化、または明るさ、コントラスト、彩度、色彩などの調整や修正によって写真を操作しないでください。カメラの自動回転機能は必ず無効にしておきます。

ContextCaptureは、継ぎ合わされたパノラマ写真に対応していません。そのパノラマ写真の元になった写真が必要です。

フォトグループ

最適な精度とパフォーマンスのために、ContextCaptureは、同一の焦点距離および大きさ(同一の内部標定)を設定した1台のカメラで撮影されたすべての写真を1つフォトグループにグループ化します。

撮影に用いたカメラによって写真がサブディレクトリに分類されている場合、ContextCaptureは自動的に識別してフォトグループを決定します。別のカメラで撮影された写真は(たとえカメラのモデルが同じであっても)異なるサブディレクトリに配置されることになります。逆に言えば、同一カメラで撮影された写真はすべて同じサブディレクトリに配置されます。

マスク

写真の一部(動く物体や反射している部分)を無視するときは、マスク画像を写真に関連付けることができます。有効なマスク画像は、黒白のTIFF画像で、写真と同じ大きさで作成します。マスク画像の黒ピクセルと対応する写真のピクセルは、ATとリコンストラクションにおいて無視されます。

マスク画像はファイル名によって入力写真と対応します。

  • マスク画像を1枚の写真に関連付けるには、写真は"ファイル名.拡張子"、マスクファイルは"ファイル名_mask.tif"として、その写真と同じフォルダに入れます。

    例 - 写真"IMG0002564.jpg"に対応するマスク画像は"IMG0002564_mask.tif"となります。

  • 1枚のマスク画像をフォルダ全体に適用するには(同じ大きさの写真であることが必要です)、マスク画像のファイル名を"mask.tif"にしてディレクトリに保存した場合、このマスク画像はそのディレクトリ内の全写真に適用されます。

    写真がロードされた後、ユーザーインターフェイスから写真にマスクを割り当てることもできます。